たとえばセカイが沈むとき
「この世界に、あなたが二人いる事になる。この世界にもとからいるあなたと、タイムマシンによってここに辿り着いたあなたと」
まぁ、そういう事になるだろう。何の気なしに頷いた僕に対し、レイの表情に影が差した。
「この装置には、時間を指定する機能をつけなければなりませんね。もっとも、それで解決するかどうか。しかし何処で計算が狂ったんだろう」
「あの……」
ぶつぶつと呟くレイに、僕は言葉を挟んだが、気付かないまま。かと思ったらいきなり僕に話し掛けて来た。
「ところで、一年前へ行ってみて如何でしたか?」
レイの態度には、無理矢理に話題を変えた印象があったが、こちらとしても早いとこチサトのもとへ行きたかったので、気にしない事にする。