たとえばセカイが沈むとき


「この世界に、あなたが二人いる事になる。この世界にもとからいるあなたと、タイムマシンによってここに辿り着いたあなたと」

 まぁ、そういう事になるだろう。何の気なしに頷いた僕に対し、レイの表情に影が差した。

「この装置には、時間を指定する機能をつけなければなりませんね。もっとも、それで解決するかどうか。しかし何処で計算が狂ったんだろう」

「あの……」

 ぶつぶつと呟くレイに、僕は言葉を挟んだが、気付かないまま。かと思ったらいきなり僕に話し掛けて来た。

「ところで、一年前へ行ってみて如何でしたか?」

 レイの態度には、無理矢理に話題を変えた印象があったが、こちらとしても早いとこチサトのもとへ行きたかったので、気にしない事にする。


< 31 / 44 >

この作品をシェア

pagetop