たとえばセカイが沈むとき
チサトをこの世から消し去ったドライバーを、責め立てる事が出来る性格だったなら、どんなにか良かっただろう。
実際は、深い懺悔の気持ちで頭を上げられずにいるその人を、罵倒なんて出来るわけもなく。ましてやチサトを守れなかった僕が言える事など、何もない。
チサトの両親さえ、娘の突然の死に悲嘆に暮れたものの、ドライバーへ当たり散らしたりしなかった。最後の瞬間、すぐそばにいた僕へも恨み言ひとつ言わなかった。
ただ、娘の早すぎる死を悼み、涙を流しただけだ。もしかしたらまだ実感が伴っていなかったか、現実を受けとめきれてなかったのかもしれない。あまりに突然過ぎたから。
そして僕は。
毎夜、夢にチサトの最後を見ながら、現実と夢の境界線を引けずにいた。