涙の理由
学校から家までの距離は亮の方が少し遠いらしい。
これもついさっき聞いた。
「ね、手繋ごうよ」
"え"と戸惑う私を余所に、
答える間も無くギュッと手を握られた。
「うわ!暖けぇ」
亮の手は男の子らしく大きくて、少しゴツゴツしていて、
すごく冷たかった。
「手冷たすぎだよ。死んじゃうんじゃないー?」
アハハと笑って軽はずみで言ってしまったこの言葉。
私は亮の表情が変わったことに気付かなかった。
そして、
私は後から自分の言ってしまったことを後悔することになる。