HONEY*ときどき*BOY
1*ハリボテ王子様?
がこんっ。


今日も鈍い音を立てた自販機から

すっと屈んで、落ちてきたペットボトルを取り出した。


自販機の横にあるちょっとしたコンクリートの段差に座って、キャップを捻る。


うん。

やっぱり、運動した後のノドにはこの潤いが必要だよね。



「あ、あのっ!早坂先輩っ!」


「へ?」



声の聞こえた方に顔を向けると、校舎の方から、最近よく見る1年の子が走ってきた。


肩にギリギリかからないくらいの茶色い髪が、ふわふわ揺れてる。


……名前が思い出せないんだけど。



「さっきはお疲れ様でした!めちゃくちゃ格好良かったですっ!」


「あ……ありがとう」



“さっき”っていうのはたぶん、テニス部のレギュラー決めトーナメントのこと。



1年の時から真面目に部活に参加してるオレは、気づいたら結構強くなってたらしくて……


自分でもびっくりしたけど、次は決勝戦。

豊崎部長と、シングルスの試合をすることになっていた。



「それでっ……あの!私、もっと近くで先輩を応援したいなって……好きなんですっ!付き合って下さい!」


「えぇっ!?」
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