HONEY*ときどき*BOY
5*ゲームオーバー?
「はぁぁぁ……」
いつもの自販機前。
ごてっと落ちてきたスポーツドリンクのペットボトルを手にとって、すぐ横にあるコンクリートの段差に座った。
キャップをぐいっと回して、液体を一気に体の中に流し込む。
「負けた……」
自分で言うのもアレだけど、羽月ちゃんに怒られてからオレは頑張った。
4-0で負けていたゲームカウントも、気付いたら5-5になってて……。
豊崎部長のミスが増えたのも、ラッキーだったかもしれない。
結局何だかんだでマッチポイントを握られたんだけど……。
試合を自分のペースで運びやすいサービスゲームだったし、オレは最後の最後まで抵抗した。
でも、最後にオレが打ったのは、どうしようもないくらいのカスサーブ。
それをすぱっとストレートのコースにリターンされて、呆気なく試合終了。
ゲームカウント6-5
やっぱり、部長は強かった。
そうは言っても……――――
「情けなさすぎる……」
あんな状況ではあったけど、絶対に負けたくなかったんだ。
あんな状況だったからこそ、絶対に負けたくなんてなかったんだ……―――――
「はぁああああ」
「ひどい顔……。今にも泣きだしそうだけど?」