HONEY*ときどき*BOY
6*王子様はお好き?
気付いたら、オレ達はいつもの自販機のところまで来ていた。
上履き履き替えてないけど、平気かな!?
いや、今はそんなこと気にしてる場合じゃないか……。
「あの……」
腕は離してくれたのに、羽月ちゃんはオレに背を向けたままだった。
ポニーテールにした髪の毛が、左の肩の方に流れてる。
細い首筋からは、さっきまでの威勢の良さも感じられない。
「これっ!」
そう言うと、羽月ちゃんは部室の窓をがらっと開けて、中から1枚の紙を取り出した。
いつも羽月ちゃんが腕を掛けてた辺りに置いてあったんだと思う。
……でも、部室の窓、開けっ放しで良いの?
「早くっ!」
右手でずいっと差し出された紙を、両手で受け取る。
「これって……」
「今日からあたしの彼氏なんだから、これくらいちゃんとやってよ」
「彼氏……?誰が?」
「……秀以外に、誰がいるの」
羽月ちゃんが、そっと視線を外す。
オレと目を合わせようとしない羽月ちゃんが、ちょっと……
いや、だいぶ可愛い。
「覚えてたんだ。これ……」