HONEY*ときどき*BOY
「当り前でしょ?あたしが書いたんだから……」
そう言うと、羽月ちゃんはまっすぐオレの目を見た。
「これは、将来秀に格好良い彼氏なってもらうためのルールで、あたしの賭けだったんだから」
「え?」
「秀が同じ高校に入ってきたのは本当に偶然だったの。たまたま会えた時は、本当にびっくりした。
しかも、みんなに人気だし、髪まで染めちゃってるし。昔の秀なんてもういなくて、あたしのこともすっかり忘れちゃったのかなって……。
あたしなんてもう必要ないのかなって、そう思ってた」
そんなこと、ない。
だってオレは……―――――
「でも、わかっちゃったんだよねぇ。昨日の秀見て」
にやりと笑う羽月ちゃんに、ぎこちなく笑い返す。
「秀は何にも変わってない。昨日、“男の子のマナー”って言った瞬間の反応見て、そう思ったの。
女の子からの告白を断ってたのも、本当に好きな子がいるからだって思ってたんだけど……あのルールを守ってたからなんでしょ?」
それ、答えなきゃダメなのかな……?
羽月ちゃんは、もう全部気付いてる。
オレが弱虫のままってことにも。
オレの、気持ちにも……――――
「え……あれ?でも、豊崎部長は?付き合ってるんだよね?」
「付き合ってくれとは言われてたけど……」
「じゃあ……?」