HONEY*ときどき*BOY
「羽月……」
ちゃん付けがダメなら、これで大丈夫……かな?
そう思って、羽月ちゃんをゆっくり抱き寄せてから耳元で囁いてみた。
だって!
こうしないと、顔が真っ赤なのがバレちゃうからさ……
あれ?
腕の中で羽月ちゃんが小さく跳ねたのは、気のせい……?
まだまだ青い、昼の空の下。
大好きな女の子を抱きしめた先では
右手にそっとつかんだ白い紙が、風でカサカサと鳴っていた。
今度はこれを、少しずつでも良いからホンモノにしたい……――――
そう強く思った瞬間に、家に帰ってから真っ先にやることが決まった。
何時間か後にほんの少しだけ模様替えをする、オレの部屋の壁。
オレを支えてくれる、大事な存在。
それをたっぷり感じながら、オレはまたぎゅっと、腕に想いを込めた。
【END】