昨日より、ずっと…



汗が流れる。

そんな暑い日にかぎって、部活がある。

「あちぃー!!」

自転車を走らせながら、嘆く颯太。

そんな颯太に、いつもなら、“はやくこげば涼しくなるの!”なんて、渇をいれるところだけど、今日は違う。

ただ、無言で後ろに座ってる。

「おい、なんか言えよなー。」

…言えないよ。

何も言えない。

わかんないけど、簡単なことができない。

いつも、颯太とどんな感じで話してたんだっけ?

…わからない。

記憶喪失とかじゃなくて…。

なんていうか…。

「俺、やっぱ嫌われたかもー。」

「…へ?」

「やー、なんかやっぱ、前より冷たいんだよなー。」

聞きたくない。

あんたの好きな人の話なんて。

その人のこと、考えないで。

…そう言いたくても言えないよ。

ただの幼なじみが、そんなこと言えない。

「最近、俺にあんまり笑ってくれないんだよねー…。」

そんなの知らないよ。

あたしに言われたって困る。

「あの子の笑顔、ひまわりみたいなんだよねー。」

ひまわりみたいな笑顔って何。

…ダメだ。
嫌な人だ。

こんなの、ただのヤキモチだ。

颯太の、好きな人に嫉妬してる。

敵うわけないのに。

颯太が、そんなにも思ってるその子に、敵うわけない。
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