昨日より、ずっと…
学校について、颯太と別れる。

更衣室に行くと、あの子。

「あ、千春先輩♪」

「結菜ちゃん。おはよー。」

この子は、〈神沢 結菜〉高校1年生。

見た目からちっちゃくて、かわいい。
おまけに素直だし。

…颯太の言う通り。

あたしは、颯太の好きな人は、結菜ちゃんじゃないかと思ってる。

だって、結菜ちゃんが入学して、バスケ部に入ってきたぐらいから、颯太は悩みを話し出した。

颯太の好きな人は、結菜ちゃん。

本当かなんてわかんないけど、あたしは、そうだと思ってる。

「今日も、堀川先輩と来てましたよね!?付き合ってたりしないんですか!?」

他の1年生たちが、聞いてくる。

「付き合ってないよ。ただの幼なじみ。」

「よかったぁ。颯太先輩、今彼女いませんよね?」

そう聞いてくる結菜ちゃん。

結菜ちゃんも颯太のことが好きなの。

だから、颯太と結菜ちゃんは、両想い…。

なんて。

まだ、誰なのかもわかんないのに。

颯太の好きな人…。

「いないと思うよ。」

「よかったー♪」

着替えて、体育館に向かう。

「あ、春ー!遅いぞー!」

バスケットボールを片手に、笑顔で“春”と呼ぶ、この子は、〈綿谷 依知夏〉高校2年生。

名前が、依知夏で(いちか)って読む。

名前に夏が入っているからなのかな?

なぜか、ずっと“春”って呼ばれるの。

「いっちー、暑い。」

「あたしだって暑いわ。」

二人でドリブルをしながら話す。

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