昨日より、ずっと…
「でさぁ、春の旦那はまだ、ゆなっちに好かれてんの?」

「旦那じゃない。…、まだ好かれてるねぇ。」

結菜ちゃんは、1年生でレギュラーになれちゃうくらいバスケが上手い。

颯太もバスケが上手くて…。

だから、それにも結菜ちゃんは引かれたのかな、なんて。

「あ、珍しい。男バス来た♪」

いっちーが、体育館の入り口を見て言う。

つられて見ると、続々と体育館に入ってくる男子たち。

その中には、颯太の姿もある。

普段、男バスと女バスは、一緒に練習しない。

どっちかが、体育館だったら
どっちかが、外でマラソンとか、そんな感じ。

「今日、先生が一人しかいないかららしいですよ。」

近くにいた後輩が言う。

へー、めずらしい。

「こうやって見ると、あんたの旦那、かっこいいわ。」

「だから、旦那じゃないってー。」

颯太は、少し離れたこの場所からでも目立つ。

バスケが上手いからかな?

ひときわ輝いて見えるのは、あたしだけ?

「颯太先輩かっこいー♪」

…じゃ、ないみたい。

「結菜、どんだけ堀川先輩のこと好きなのー?」

キャーキャー、ハートが飛び交う1年生。

颯太どんだけ人気なの。

かっこいいくせして、彼女なんてつくったことないみたいだし。

好きな人ってのをずっと追っかけてるんだろうな。

「あたし、告白するかも。」

…へ?

嘘…。

この声、…絶対。

ハートが飛び交ってたはずの、1年生たちは、さっきとは裏腹にシーンとしてる。

…結菜ちゃん、だよね?

「結菜、ついに告んの!?」

一気に沸き上がる、1年生たち。

何、このモヤモヤした気持ち。

ただ告白するだけだよ?

結菜ちゃんが颯太に…。


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