昨日より、ずっと…
「えぇーっ!?いきなり!?…俺なんかした?」

…そんなに焦んなくたって。

「…バカな颯太からのお願い、聞いてくれる?」

いきなり真剣な声。

自転車置き場で自転車に置く手が止まる。

颯太は、気にせず自転車に乗って、顔をこっちに向けずに前を向いて言う。

「お願い…?」

颯太からのお願いなんて、“恋の相談を聞いて”ってことしか思いつかない。

「…そ。お願い。」

「…いいよ。」

「ん?意外と素直だ。」

…冗談っぽく言ってるけど、いつもの颯太とはなんか違う。

自転車の後ろに静かに乗るあたし。

…はやく、言ってよ。
…お願いって何?

「よーし!千春、今から海行こう!!」

え!?海!?

「超ありきたりっ!」

「いいじゃん、青春じゃん!!行くぞー!!」

だんだん、スピードが上がっていく自転車。

「怖いって!」

「おー、なら俺にしっかりつかまっとけー!」

“しっかりつかまっとけ”って…。

…颯太に!?
…近っ。

「ほーら!はやくー!!千春ー、振り落とされるぞー!!」

「やっ…ちょ、振り落とさないでっ!」

必死に颯太にしがみつく。

「うっわ、千春、苦しいっ…!」

「しょうがないじゃん!!怖いんだもん!颯太が悪いの!!」

…なんだ、普通じゃん。

普通に話せてる。

…よかった。

…あたし、ちゃんと幼なじみできてるよね?

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