白いジャージ7 ~先生とプールサイド~




それから、かなり長い時間ふたりで抱き合って、泣いた。





「俺、こんなだけど……ずっと好きでいてくれる?」




「当たり前だよ。先生、大好き」




「嫌いになっただろ?でも、また好きになってもらえるように頑張るから」






もう一度、先生は私をぎゅっと抱きしめた。




そして、私の頬の涙をそっと拭って、キスをした。





ふたりでたくさん泣いた。





ほんの少しのすれ違いだった。




でも、大きな傷を残してしまった。








「先生、もう泣かないで」




「だって、お前が……別れるようなこと言うからぁ」




「ごめんなさい。私の悪い癖だね。昔から全然変わってない」




「俺のことを想っての発言だろうけど、それが間違いだから。俺、直以上に大事なものなんてない」




「あの時と同じだね。あのバレンタインの夜……」




「そうだな。俺も思い出したよ。俺の幸せを願って、直は別れを選んだ。でも、俺が一緒にいたいのは直だけなんだよ。昔も今も、もちろんこれからもずっと」







あの時にわかったはずなのに。



だめだな、私。





こんな気持ちになったのは、結婚して初めてだった。







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