白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
空に視線を移した先生が、静かに息を吐いた。
「桜は、あっという間に散っちゃうな」
先生は、空に舞う花びらを見つめながら、そう言った。
「ちょっと寂しいね」
私は、先生の足元に落ちた桜の花びらを拾って、自分の手のひらに乗せた。
「でも、散ってる姿も好きなんだよな、俺」
「私も・・・・・・!!」
先生は私の手のひらの上の花びらにそっと触れた。
思い出すのは、高校の桜。
あの坂道。
両脇の桜の木。
風が吹くと、ゾクゾクした。
一斉に散って、踊るように空へ舞い上がる桜の花びら。
高校生の私は、桜の花びらを拾って喜んでいたっけ。
桜の花びらを地面に落ちる前に拾ったら両思いになれるってジンクスを信じて。