白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「今日はもう帰る」
よくドラマで見るシーン。
スネた彼女が追いかけてもらうことを予想して、帰ろうとする。
「ちょっと待って。ごめんって。せっかく久しぶりに会えたのに。帰るなよ」
予想通り、翼先生は私の手を引っ張る。
「帰る!!」
それでもまだ帰ろうとする私は、ドラマの主人公にはなれない。
素直じゃない。
「待って。誤解だって」
必死な顔してる翼先生を突き放してしまった。
「何が誤解?昔の彼女から電話かかってきたのは本当じゃん。女の人が元彼に連絡する時って絶対に、気持ちが残ってるからだよ」
翼先生は悪くない。
悪いのは、元カノの方だ。
翼先生が珍しく“もっと一緒にいたい”なんて言葉を言ってくれたのに、私は走ってその場から逃げてしまった。
かわいくない。
かわいくない“嫉妬”だ。
直みたいにかわいくやきもちやけたらいいのに。