白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「正直に話してね、私には」
会社の前の信号待ち。
「直・・・・・・気付いてたんだぁ」
「うん。そんなに簡単にあきらめられないよね」
「口では悪口ばっかり言ってるのにさ。やっぱり嫌いになるなんて無理なんだよね」
あれから少し気まずくなった私と大野さんだったけど、今では普通に話せるようになった。
沙織とも、時々挨拶を交わしたり、世間話はしているみたい。
大野さんの本当の気持ちはわからないけど、きっとあの出来事があってから、沙織への気持ちは変化したと思うんだ。
いつか・・・・・・
いつか、届くといいね。
沙織の気持ち。
エレベーターの前に立つ大野さんに気付いた沙織は、歩くスピードを落とした。
「あの狭い空間に一緒なのは、辛いよね」
そうつぶやくように言った沙織に、私は小さく頷いた。
「沙織、大野さんへの気持ちは長いね。今までと全然違う」
「だよね・・・・・・すぐに次の男見つかると思ったのにさ」
「でも、沙織・・・・・・かわいくなったよ。本気の恋してるからかな」
照れた沙織に背中を叩かれながら、次のエレベーターに乗った。