白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
エレベーターに駆け込んで来たのは、新人の田村豪太。
「ご~たぁ~、おっはよ!」
沙織は、豪太に肩を寄せた。
「山内さん、朝から気持ち悪いっすね~」
「何よ!後輩のくせに」
沙織と豪太は、同じ部署だからとても仲が良い。
かっこいいとか好きになるかもって言ってたけど、絶対にそれはなさそう。
「新垣さん、おはようございます」
「あ、おはよう。田村さん」
田村さんとか言ってるけど、沙織と話す時はいつも“豪太”って呼んじゃってたりする。
新人なのに、仕事ができるから、社内の評判も上々。
「すっかり会社になじんでるね~、田村さん」
私がそう声をかけると、豪太は顔をくしゃくしゃにして笑った。
「えへへ。そうっすか?でも、まだまだ緊張しまくりですよ」
人懐っこい犬みたいな笑顔。
軽いくせ毛が、先生と似ている。
りりしい眉毛に、クリっとした目。
スッと通った鼻筋。
大きな口。
って何、観察してるんだろ、私。
あ、ネクタイもおしゃれだぁ。
新人とは思えないスーツの着こなし。
「んじゃ、直!また帰りにね」
「うん!!」
沙織に手を振って、エレベーターを降りると、豪太も私に手を振っていた。