白いジャージ7 ~先生とプールサイド~





「そうだったの。早く話してくれれば良かったのに」




「ごめんなさい。病院で、妊娠おめでとうって言われたら話すつもりだったの」






お母さんは、母子手帳を出してきてくれた。



「これ、見て。直の時の母子手帳」




ボロボロだったけど、とても大事にされていたのがわかる母子手帳だった。





「ほら、見て。出血って書いてるでしょ?他にも下痢とか便秘とか」





初期の頃に、お母さんも出血をしたことがあったんだと。




「それに、直はすごいんだから。話したことあったと思うけど、お母さん盲腸になったんだよ。それなのに、健康に生まれてきてくれた」





お母さんは当時の話を詳しく聞かせてくれた。



とても大事な妊娠初期に、お母さんは盲腸になった。




周りの人は“赤ちゃんに影響があるんじゃないか”と心配したらしいんだ。



でも、お父さんとお母さんは不思議と不安はなかったんだって。




絶対大丈夫って信じて、盲腸の手術を受けた。




病院の先生も大丈夫だからと言ってくれたし、お母さんは何も心配していなかったと。






「すごいね、お母さん。強いね」




「誰でも強くなれるのよ。母になるとね」





その言葉が、とてもよく理解できた。




まだ“母”と言えるかどうかわからないけど、私も母になって強くなれた。






< 318 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop