白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
忘れ物
-忘れ物-
8月になった。
まだ朝なのに、入道雲が空にぐんぐん広がっていた。
セミの鳴き声が響く。
ハイツの横に立っている大きな木にセミがたくさん集まっている。
会社を2週間休むことになった。
「先生、行ってらっしゃい」
「おう。お弁当ありがとうな」
私が休みの間、お弁当を作ることにした。
先生のお弁当を作るのはとても楽しかった。
大好きな人のお弁当を作るって幸せなんだ。
作ってる間、ずっと先生の顔を思い浮かべてる。
どんな顔して、食べてくれるのかなぁ。
美味しいって言ってくれるかなぁ。
「今日は、肉じゃがだよ」
「楽しみにしてるよ」
保冷剤を詰め込んだ袋の中にお弁当を入れて、手渡す。
「じゃ、行ってきます」
キスをする。
今日は、ちょっと長めのキス。