白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
電話が鳴る。
先生からだ。
『直、水谷先生が直と話したいって』
「水谷先生が?」
久しぶりの声だった。
勝手にやきもちやいてしまったり、いろいろあったけど、私は高校時代から水谷先生が好きだった。
優しい声。
『もしもし?矢沢さん?水谷です』
何年も会ってないのに、すぐにあの笑顔が浮かんだ。
水谷先生は、鼻をすすりながら話し始めた。
泣いてくれた。
私のために。
水谷先生は、私と同じ初期の流産を経験していたそうだ。
私よりも長い期間母親として過ごしていたからもっと辛かったと思う。
誰にも話したことはないんだけどと言っていた。
自分のせいじゃないとわかっていても、自分を責めてしまったり、原因を探してしまったりした、と。
受け入れるのに時間がかかったと。
私ととても似ていた。