白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「おかえり、直」
お母さんは、両手を広げて迎えてくれた。
私は、素直にその腕の中に包まれた。
「ただいま、お母さん」
もう大丈夫だよ。
泣かないよ。
“天国に忘れ物を取りに行った”という言葉をもらっていなかったら、きっと泣いてしまったと思う。
やっぱりお母さんの顔を見ると甘えたくなるから。
「もうね、大丈夫だから。辛かったけど、ちゃんとここにいるから」
私は、胸元に揺れるネックレスに手を当てた。
結婚1年目の記念に先生にもらったネックレス。
ここにいる。
私の胸に。
先生の胸に。
「そう。直は、いいお母さんになるわね」
今日はお母さんに甘えよう。
お母さんに頭を撫でてもらった。
子供の頃を思い出した。
安心した。
ソファでくっつきながら、いろんな話をした。