白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「短い間だったけど、直は母親になった。俺も父親になった。辛かったけど・・・・・・な」
人差し指でおでこをぽりぽりとかいた。
先生、本当に父親の顔してたもんね。
「母親の顔になった直を見て、また俺はお前を好きになったよ」
「私も、パパになった先生を想像しちゃったよ」
「また・・・・・・会えるよ。だから、前を向いて頑張ろうな」
「うん!!忘れ物を取りに行ってるだけだもんね!」
音楽室の扉を開ける。
廊下の窓からの光がキラキラしていた。
「あ!!新垣先生だぁ!!」
廊下の向こうから生徒の声がした。
「やべ!見つかった!!逃げるぞ、直」
先生は私の手を引いて、走り出す。
「どうして逃げるの?せんせ~」
「わかんねぇ、俺も。ははは」
ふたりで手を繋いでまた走る。
追いかける生徒。
キラキラしていて、ドキドキして・・・・・・
懐かしい。
廊下を走る。
やっぱりここは特別な場所。
先生と私の出会った場所。