白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「デザート、何にする?」
大野先輩が、メニューを見せてくれた。
ふたりでひとつのメニューを見た。
「悩みますね~」
「女の子はデザート好きだからな」
「大野先輩は食べないんですか?」
「いや、食べる。俺も好きだから」
照れくさそうに笑う。
ドキ。
ドキ。
「これにします」
「じゃあ、俺もそれにしようかな」
いちご杏仁を注文した。
特に内容のある会話はできないまま、飲み会は終わろうとしていた。
体を直の方にばかり寄せてしまって、大野先輩との間には距離があった。
直と豪太とばかり話していた気がする。
でも、それで良かった。
同じ空間にいることができた。
普通に話せた。
一歩前進。
一歩どころか、十歩くらい前進。
堂々と言える。
今なら。
大野先輩が好きだと。
“あんな男好きじゃない”とか“豪太にしとこっかな”とか、そんな嘘ばかり言う自分は好きじゃない。