白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「でも、直はやっぱり昔から大人っぽい考えを持ってた。他の生徒とは違ったっていうか。恋愛感情を抱く前からずっとそれは感じてたことなんだ」
自分ではよくわからない。
でも、小学校の先生にも同じようなことを言われたことがある。
「直はそれだけ辛い思いをしてたってことだな。子供なのに、考えることがたくさんありすぎて、早く大人になっちゃったんだよ」
また風が吹く。
少し伸びた先生の髪が揺れる。
空へ飛んでいこうとしているようなピンク色の桜の花びら。
「毎年、ここでお花見したいな」
先生の肩に頭を乗せてみる。
先生は、左手で私の頭を抱き寄せてくれる。
胸がキュンとする。
懐かしい。
これ・・・・・・高校の頃、してくれたよね。
先生は覚えてるかな。
体育の授業中、倒れちゃった私を車で送ってくれた先生。
誰にも言えずに心の中に抱えていた悩みを、先生に話すことができた。
私の話をじっくり、ゆっくり聞いてくれた先生は、最後に私の頭を抱き寄せてくれた。
“間違ってないよ”って言ってくれたんだ。
あの時、心が軽くなったのをハッキリ覚えてる。
あの頃、まさか先生の奥さんになれるなんて思ってもいなかった。
ただ、大好きで大好きで・・・・・・苦しいくらいに好きだった。