白いジャージ7 ~先生とプールサイド~



「でも、直はやっぱり昔から大人っぽい考えを持ってた。他の生徒とは違ったっていうか。恋愛感情を抱く前からずっとそれは感じてたことなんだ」



自分ではよくわからない。



でも、小学校の先生にも同じようなことを言われたことがある。





「直はそれだけ辛い思いをしてたってことだな。子供なのに、考えることがたくさんありすぎて、早く大人になっちゃったんだよ」




また風が吹く。



少し伸びた先生の髪が揺れる。




空へ飛んでいこうとしているようなピンク色の桜の花びら。





「毎年、ここでお花見したいな」



先生の肩に頭を乗せてみる。


先生は、左手で私の頭を抱き寄せてくれる。





胸がキュンとする。


懐かしい。




これ・・・・・・高校の頃、してくれたよね。



先生は覚えてるかな。




体育の授業中、倒れちゃった私を車で送ってくれた先生。




誰にも言えずに心の中に抱えていた悩みを、先生に話すことができた。




私の話をじっくり、ゆっくり聞いてくれた先生は、最後に私の頭を抱き寄せてくれた。


“間違ってないよ”って言ってくれたんだ。




あの時、心が軽くなったのをハッキリ覚えてる。



あの頃、まさか先生の奥さんになれるなんて思ってもいなかった。




ただ、大好きで大好きで・・・・・・苦しいくらいに好きだった。








< 5 / 366 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop