白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「ケーキの美味しい店は、俺くわしくないんだよな。沙織ちゃん知ってる?」
「この辺、あんまり知らないんです。ケーキはまた今度でもいいです」
調子に乗って、“また今度”なんて言ってしまった。
「でも、俺、ケーキの気分なんだな。沙織ちゃんの地元のケーキ屋さんならわかる?」
「地元ですか?それならたくさんありますけど」
ケータイを鞄から取り出して、時間を見る。
10時。
「もう閉まってるかもしれないです」
「閉まってるかどうかわかんないし、とりあえず行ってみよう」
大野先輩は、駅に向かって足早に歩き出す。
「でも!!大野先輩の家と逆じゃないですか」
「いいんだ。送らせてよ。だめかな」
そんなに優しい顔しないで。
泣けてくる。
やっぱり、大野先輩はあの旅行でのことを気にして・・・・・・
償いの為に、私を誘ってくれたんだ。