白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「先生の心の中、見たいな」
何度願っただろう。
高校時代からいつも思っていたこと。
「俺の?」
「うん。全部知りたい」
「また俺は直を不安にさせてるのかな。何かあったか?」
眉を下げて、心配そうな表情になる先生。
ごめんね、先生。
違うんだよ。
私の心の中に迷いというか、ほんの少しの変化があったからなんだ。
「そうじゃないよ。心の中は誰にも見えないって先生が言ったから、見てみたいなぁって思っただけ」
先生は安心したような表情で微笑んだ。
そして、夜空を見上げた。
三日月の周りには、うっすら雲が浮かんでいて、今にも三日月を隠しそうだった。
「俺だって・・・・・・そう思うこともあるよ」
呟くようにそう言った先生の横顔が何となく寂しげに見えたのは、私自身の心の中に“豪太”の影があったからだろうか。