白いジャージ7 ~先生とプールサイド~
「どうしたぁ?新垣先生。元気ないね」
生活指導室のソファでコーヒーを飲む俺の隣にやってきた喜多先生。
いつも、俺が悩んでいる時、何も言わなくても気付いてくれる。
「バーベキューの話、奥さんにしました?」
「あ、それなんだけど・・・・・・家族で旅行に行くことになってさ。俺、キャンセルさせて。悪いな」
俺はため息をつく。
「まじですか?」
「何?俺がいないと何か困る?」
ニヤつきながら近づいてきた喜多先生に、悩みを打ち明けてみよう。
「女性が一緒だってことを、妻に言えなかった」
喜多先生は、一瞬驚いた顔をしてから言った。
「女性って誰のこと?」
「水谷先生のことです」
「あ~、でもただの同僚だろ?直ちゃんだって、気にしないだろ」
そうだ。
直は気にしない。
あの時、普通に話していれば。
“水谷先生も一緒なんだよ”って。
普通に話していれば。