涙を知った後。
あー
なんかもうすべてにイライラする。
この場からあたし
消えたいんだけど。
何が楽しくて
好きな人が親友に告られる現場なんか
みなきゃいけないわけ。
あーー
はやく帰りたい。
聞きたくない聞きたくない。
すると由真はいつの間にか
姿を消していた。
あれ、あたしの心の声きこえちゃってた?
「起きてんの?」
蓮がいきなり真横から
話かけてきていた。
まったく気付かなかったあたしは
返事をする前に体がビクッと
反応してしまった。
「いきなり現れんなよ」
そういって横をみると
顔が意外にも近かった。
「うおっ」
それにまたまた驚いたあたしは
後ろに倒れそうになった。
そんなあたしをみて
「びびりすぎー」
なんて笑ってる蓮に
「うるせー」
ってキレてるあたしは本当
素直じゃないんだ。
急に蓮が真顔でこっちを見つめる。
「え、なに」
いたたまれなかったあたしは
思わず言ってしまった。
「さっきの会話、聞いてたろ?」
「えっ」
まさかとは思ってたけど
やっぱり聞かれたこの質問。
「やっぱりか。」
あたしのえって言ったあほ面に
質問の答えを確信した蓮は
そう呟いた。
一度正面をむいて
またあたしに向き直って言った。
「あいつと俺はさ…」