涙を知った後。
「うっせ。」
そういってあたしの首に顔をうめた。
「え、なに?」
そういって離れようとすると、力いっぱいまた抱きしめられた。
「今の俺…すっげだせぇ」
ぼそっとつぶやいた憐。
暗いからよく見えないけど
彼がきっと真っ赤な顔してるのは
すぐにわかった。
「かーわいっ♪」
そんな声が
だれも居ない道にひびいた。
こんな幸せがずっと続くって。
あいつがいない生活なんかないって
この時楽しくて…、幸せで。
気付かなかった
憐のいない生活が
もうすぐそこまで
やってきているなんて。