涙を知った後。
「蓮!?」
追い掛けようとしたあたしを
悠がとめた
「え、なに。」
少しいつもより
声をひくくして
焦りがわからないよう必死だった
焦るんだよ、そりゃ。
蓮をおわなきゃ。
「やめとけ、今はあいつが1番辛いんだ」
一言、たった一瞬の悠の言葉
あぁ、
そうか。
そりゃそうだよね…
憐のかわりをやれって
言われてるようなものだしね
あぁぁぁーっ
あたしは人を傷付けるのが好きみたいだね
駄目だ、ほんと。
あたしは前髪をかきあげ
その場にすわりこんだ
「大丈夫、戻って来るよ、あいつは」
そっとあたしを優しく撫でた悠
こうゆう、混乱してるときは
悠が1番落ち着くなぁ
お兄ちゃん。
あたしのなかでは
そんなかんじかな
「ありがとう、悠」
その一言は
この先のあたしを変えることになったんだ