名も無い歌
大勢のアンコールの中、再び登場する。アンコールは全5曲、シークレットのWアンコが1曲。
「沢山のアンコールありがとう。これからアンコールもついて行けるか!」
会場のボルテージは最高、俺とアザミはイントロが鳴ると同時に弾かれたように花道を駆けた。
瞬く間に過ぎる時間。最後の足掻きのアンコールも終わりに近づく。とうとう最後のMCになってしまった。真ん中に二人で立つ。客席は静まり返り、じっと俺たちの言葉を待っていた。
「今日はありがとう。ちゃんとやれたね。最高のライブでした。本当はもっと高くて遠いところに連れて行ってあげたかった。東京ドームとかでやりたかった。でも、もうそれも出来ません。」
啜り泣く人、耐え堪えてこちらを見る人がいる。
「おれの病気の所為で、皆の夢や楽しみを潰してしまうことはとても心苦しいです。おれももっと皆と一緒に歌っていたかった。それでもここまで来れたのはバッグで弾いてくれている三人と、おれの大切なパートナーのマツリのおかげです!」
わって湧くような拍手に、思わず涙が滲んだ。
「そして、支えてくれたファンのおかげです。」
大人しめな拍手に、同じように涙が滲んだアザミが口を噤む。
一息置いて、決心したかのように最後言葉を口にした。
「聴いて下さい、――。」
「沢山のアンコールありがとう。これからアンコールもついて行けるか!」
会場のボルテージは最高、俺とアザミはイントロが鳴ると同時に弾かれたように花道を駆けた。
瞬く間に過ぎる時間。最後の足掻きのアンコールも終わりに近づく。とうとう最後のMCになってしまった。真ん中に二人で立つ。客席は静まり返り、じっと俺たちの言葉を待っていた。
「今日はありがとう。ちゃんとやれたね。最高のライブでした。本当はもっと高くて遠いところに連れて行ってあげたかった。東京ドームとかでやりたかった。でも、もうそれも出来ません。」
啜り泣く人、耐え堪えてこちらを見る人がいる。
「おれの病気の所為で、皆の夢や楽しみを潰してしまうことはとても心苦しいです。おれももっと皆と一緒に歌っていたかった。それでもここまで来れたのはバッグで弾いてくれている三人と、おれの大切なパートナーのマツリのおかげです!」
わって湧くような拍手に、思わず涙が滲んだ。
「そして、支えてくれたファンのおかげです。」
大人しめな拍手に、同じように涙が滲んだアザミが口を噤む。
一息置いて、決心したかのように最後言葉を口にした。
「聴いて下さい、――。」