先生の紺色チェックのマフラー
季節は秋になりかけで、中学二年生の頃だった。
ゆっくりと紅葉が色を付ける。
その瞬間がとても季節を感じさせる。
四階の教室の窓から見える景色は綺麗。
そんな景色を見ながら、
「う゛ー」
唸りながら自分の机にうなだれるのは私、杉岡 愛美だった。
「…愛美、どうした?」
と上から声を掛けられ、ぱっと顔をあげれば一年生の時に友達になった 原野 悠梨だった。
テニス部所属している彼女は、他の人と比べて肌が焼けている。
演劇部の私は文化部だから、それがちょっとだけうらやましい。
初対面でも運動してるんだ、ってわかるような外見が。
「…ピアノやめることになった」
ぽつり、と独り言のように呟けば悠梨はカタン、と音を立てて私の隣の席に座った。