先生の紺色チェックのマフラー
朝学活を終え、一限目が音楽なため皆が移動し始める。
いつもなら、大好きな音楽で嬉しいのに。
今日はなんだか、気が重たい。
今はなるべく、ピアノは見たくない。
そう思いつつも
「悠梨、待ってるよー」
と準備をし終えた私は先に教室を出る。
廊下の壁に寄り掛かりながらはーっとため息を一つ漏らす。
他の人に表情を悟られないように、教科書に顔を埋める。
なんで…やめなきゃいけないんだろ、
この二日間でも頭の中はそれでいっぱいいっぱいだった。
そして、少し経ってから慌てて用意をしながら出て来た悠梨は何故だか、とても嬉しそうだった。
「……なんかあった?」
そう尋ねれば
「なんもないよ。」
と話しを誤魔化されてしまった。
だけど、あまり深くは聞かない。
悠梨が自分から話をしてくれるまで、待つことにする。
これが、私達の関係。
お互いにあまり言わなくても、わかるし、自分から言ってくれるまで待つっていう。
悠梨がそうだから、私もそうしてる。