愛する君に誓うこと
喫茶店の閉店は9時。
いつも通り、9時を少し過ぎた頃、メニューを片付けるために店の外に出たときだった。
「あぁ…。もう終わりですか?」
少し掠れた、アルトの声が頭の上から降ってきた。
「すみません。9時で終わりなんです。」
そう言いながら振り向くと、背の高い、幼さの残る顔をした男の子が立っていた。
「そっか。残念。いつも気になってたから来てみたのに。」
「すみません、せっかく来ていただいたのに。」
「いいえー。また来ます。大学からも近いんで。」
そういうと彼は、にかっと、
本当にこの形容詞がぴったりな笑顔で笑った。
彼が去っていったあとも、彼のアルトの声と笑顔がしばらく頭から離れなかった。
ありがちだけど、一目惚れだった。