愛する君に誓うこと
薫と出会ったのは7年前、大学1年生の春。
新緑の鮮やかな季節だった。


父は物理学者、母は高校の数学教師という理系の家庭に育った俺は、物心がついた頃には、「将来は研究者になる。」と言っていたらしい。

その言葉通り、俺は父の母校でもある今の大学に合格し、研究者への道を歩み始めた。

優秀な教授陣に、充実した研究環境、真面目に講義や実験に取り組む同級生や先輩。
研究者を目指すには、最高の環境だった。


ただそんな中で唯一足りないのは、この時期の男ならだれでも求めるであろう女の子出逢いだった。
理科大ということもあって学内で女の子を見かけることはほとんどなかった。

そんな環境だと、可愛い女の子の情報はすぐに入ってくる。
4月も終わる頃だったか。
初めて、薫の噂を耳にしたのは。



「大学の近くの喫茶店に凄くきれいな女の子がいる―。」



そんな噂がすぐに学内に広まった。



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