愛する君に誓うこと

別に特別に意識していたわけではない。
学内に広まっている噂にも対して興味はなかった。

「女の子が珍しいから騒いでいるだけだろう。」

そんな風に考えていたし、そもそも研究以外に興味がなかった。


いつもの大学からアパートへの帰り道。
何気なく、喫茶店の店内に目を向けると、薫がいた。


色素の薄い、長い髪。
真っ白な肌。
アーモンド形の大きな瞳。
折れそうなほど細い手足。


吸いこまれたように、彼女から目が離せなかった。

薫がふと外を見たので、あわてて目をそらし、喫茶店の前を離れた。


アパートに戻ってからも、彼女の残像が瞳の裏にちらついて離れなかった。



一目惚れだった。



< 8 / 9 >

この作品をシェア

pagetop