愛する君に誓うこと
別に特別に意識していたわけではない。
学内に広まっている噂にも対して興味はなかった。
「女の子が珍しいから騒いでいるだけだろう。」
そんな風に考えていたし、そもそも研究以外に興味がなかった。
いつもの大学からアパートへの帰り道。
何気なく、喫茶店の店内に目を向けると、薫がいた。
色素の薄い、長い髪。
真っ白な肌。
アーモンド形の大きな瞳。
折れそうなほど細い手足。
吸いこまれたように、彼女から目が離せなかった。
薫がふと外を見たので、あわてて目をそらし、喫茶店の前を離れた。
アパートに戻ってからも、彼女の残像が瞳の裏にちらついて離れなかった。
一目惚れだった。