風_現実(7月10日20:40更新)
学校までの坂道を、ずっとうつむいて登った。

桜の季節になれば、桜が満開になり、とても綺麗な坂道だったはずだ。

その丘の上に、私の通う中学があった。

でも、あの頃、それは見えなかった。

あの桜の舞い散る中を、通学した記憶はない。

ただ、あのコーナーを駆け抜けて、峠へと向かう二輪ライダーがヒーローに思えた。

いつしか自分もバイクに乗り、サーキットを駆けるレーサーになりたかった。
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