風_現実(7月10日20:40更新)
「やっと走り出せる。」

 そんな定められたかのような全てのプログラムを経て、ぎゅっと目を瞑る。

 今にも踊り出しそうな気持ちを抑える。

 次の瞬間、心がストンと静まるのが分かる。

 目を見開き、前方を見据える。

 瞬間、身体の全てが連動するようにクラッチを踏む。

 それと同時かのようなタイミングで握ったシフトノブを、左前方へと傾げ、ロー(1速)へとギアを入れる。

 ただただ丁寧に、ギア(歯車)同士をシンクロさせながら。
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