風_現実(7月10日20:40更新)
 私とマシンは、今日も行く宛てなどない。

 目的地などなく、また、目的などない。

 ただ走るために、走り出す。


 まるで静止画のような早朝の街を抜け、限られた中で自由を求める。

 山の峠道をスラローム、湖の周辺の景色を横目に見ながら軽やかにドライブ。

 店が建ち並ぶ街道沿いを走り、やがて海を目指す。

 海と人の波で溢れる海岸線に辟易しながら、人の絶えない交差点で一呼吸。
 
 渋滞が始まる前に国道を走り抜け、人気のない薄暗い街灯の林の中へ逃げ込んだ。

 そして、やがて眩しく輝く朝日に照らされる瞬間を、私とマシンは共に駆け抜けた。
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