恋せよ乙女


支度を終えリビングに戻ると、おばさんは顔まで毛布にくるまっていた。



「おばさん、片付けて帰ってね」


鞄を持ち玄関に向かうあたしは、一言だけ言葉を残しリビングを出ようとドアノブに手を掛けた。




――…早くここから出たい。一秒でも早くこの人から離れたい。

そう思うのに、




「…飛鳥」


静かにあたしの名を呼ぶその声に思わず足が止まった。


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