forget-me-not
「ふぅん。またあの人でしょ、どうせ」
カッテージチーズを摘みながら、リカが冷めた目で私をみた。
(…そんな目で、みないでよ)
『ふっ、呆れた?』
「うーん。呆れたってよりは、馬鹿ね、って思うわ」
『同じじゃないですか』
「違うわよ。呆れたっていうのは見放すことよ。まだあたし、あんたを見捨ててないの」
馬鹿か…。うん、きっとその通りなんだろうな。
自分でもそう思う。だけど、仕方ないじゃない。忘れられないんだから。
「まぁとにかく、フウは物事を後ろめたく悲観的に捉えすぎ。ちょっとはあたしのポジティブを見習いなさいよ」
―――神谷のことなんて、忘れちゃっていい恋しなさい