forget-me-not
すると、新戸くんは眉根を寄せて少しむっ、としてみせた。
あれ、私、今なにか悪いこと言っただろうかと、首を傾げてただただ彼の顔を見上げる。
が、何も思い当たることはない。
「何か、飲みますか?」
そのままくるりと自販機のほうへ方向転換した彼の背中。
『あ、うん。えっと…』
「桃カルピス?」
『、よ、よくわかってるじゃん』
試合後の高揚感もすっかりひいた新戸くんは、なんだかいつもより落ち着いて大人びてみえた。
さっきはムッとしたりして、何を考えてるのかはよくわからないけれど。
思えば人が何を考えているのかなんて、推測するのは苦手だ。