forget-me-not







すると、新戸くんは眉根を寄せて少しむっ、としてみせた。

あれ、私、今なにか悪いこと言っただろうかと、首を傾げてただただ彼の顔を見上げる。

が、何も思い当たることはない。



「何か、飲みますか?」


そのままくるりと自販機のほうへ方向転換した彼の背中。




『あ、うん。えっと…』

「桃カルピス?」

『、よ、よくわかってるじゃん』


試合後の高揚感もすっかりひいた新戸くんは、なんだかいつもより落ち着いて大人びてみえた。

さっきはムッとしたりして、何を考えてるのかはよくわからないけれど。

思えば人が何を考えているのかなんて、推測するのは苦手だ。










< 118 / 275 >

この作品をシェア

pagetop