forget-me-not
『何ですか、って、』
面と向かって堂々と突きつけられたら、どう返答してよいのかわからなくなる。
でもこの状況、何ですかと訊きたいのは寧ろこっちの方だというのに。
「何ですか、じゃないよ。なに?コレ……、」
『んー。愛情表現です』
「新戸くんらしく、ないよ!」
飄々と言ってのける彼に、些か語気を荒げて言い放つ。
けれど腕の中で取り乱す私を、新戸くんはポカンと見下ろして、小首を傾げてみせた。
「俺らしいって、何ですか?」
『それは…だから…』
犬みたいで、とか。からかいやすくて、とか。あまりにも失礼で小馬鹿にしたイメージしか浮かばなくて、舌打ちしそうになる。
(…だって、少なくともこんな、)
こんな事をするのは、新戸くんらしくない。