forget-me-not
『…関係、ないよ』
関係ない。会って日が浅い、ただの変わり者。もしくは相当な奇人。
友達、なんていう間柄でもないし、男と女、なんていう程シュールなあれでもない。
『そう考えると、不思議だなー』
私たちの間を形容する言葉はきっと、“知人”とか“顔見知り”とかなんだろうけれど。
それにしては彼との時間はいつも濃い。濃いのだ。
初めて出会ったときからそうだった。彼と対峙するとき私はまるで異空間に在るような気分に陥る。
深く沈むように、穏やかで冷たく
少し、悲しい。
『あぁ…もう。面倒、』
“知人”についてこれほどまでに生産性のない考えを巡らせるなんて、どうかしている。お門違いだ。
意味のないことはしない。
人生25%寝ているとしたら、80年生きるとしても残り60年。
その中で自由に頭を使えるのは三分の一程度なんじゃないだろうか。
(…無駄なことに時間割くの、やめよ)