forget-me-not
「何を?」
『ね、さっきから喧嘩売ってる?何が、とか何を、とか。わかるでしょ普通』
「フウの言葉には構成要素が欠けているんだよ」
皮肉を言うにしては清々しい物言いで、静かにご指摘をいただく。 が、今はそんなことはどうだっていい。
私が訊きたいのは
『学校で今日、会ったよね?目が合った』
「そうだね」
『いつから見てたの?』
「キミたちが並んで歩いてきたときからだよ」
やっぱり。
となると一部始終というわけか。
苛つきを足音に如実に表しながら、私はソファへと移動する。
それを首だけ器用に動かして、夜くんは目で追った。