forget-me-not
カサ、とその拍子にパキラの葉が揺れる。私は背筋がゾクリと粟立つのを感じながらも、カウンターに座る彼から目が離せない。
「教えてよ」
『なにを…?』
「恋愛をしないはずのキミが、どうして複数の人間と関係をもつのかなって」
夜くんの口調は至って冷静だ。いつもと変わらない。
が、だからこそ…、辛い。
『何でそんなこと、あなたに言わなきゃいけないの…』
「うーん。知りたいから?」
『…っ。それにあれは恋愛なんかじゃないってば』
じゃあなんなの、なんてお願いだから訊いてくれるなと、固く目を瞑って唇を噛んだ。