forget-me-not
そうして二、三秒身構えていたが、夜くんが示したのは思いのほか違った反応だった。
「ふーん」
たった、これだけ。
なんだかそれに無性に腹が立って、何を責められたわけでもないというのに、無意味な弁解が勝手に口をつく。
『ただ、寂しかったの。だから私と同じような人と一緒にいたくて…。恋愛って形を求めない人たち。だから…』
そこまで言って、私は何を必死に言い訳しているんだと恥ずかしくなって目を伏せた。
目の前にいる夜くんの顔が怖くてみれない。どう思われているのだろう。またその退廃的な目は、私を蔑むんだろうか。
カツ。
その音にハッ、と顔をあげてみれば、いつの間に立ち上がった彼がすぐ側まで来ていた。