forget-me-not
夜くんの唇が離れていくにつれ、ツー、と透明な糸がひく。
彼はしばらくらくの間、そうして私を見下ろしていたけれど、深い息をはいて言った。
「じゃあ僕がこうすると、フウにとっては都合のいい行為になるってことだね」
「それは、」
「安心してよ、僕は人間じゃないから恋愛なんて形を求めたりしないよ」
囁くように息の混じる声。随分と優しいそれに、また心臓が跳ねる。
なんだか、私は酷く、間違っている気がして…。
「恋愛について、ひとつわかったことがあるんだ」
「な、に…?」
私に馬乗りに近い状態になったまま、夜くんはそっと右手をあげる。
そして……