forget-me-not
「恋愛感情は人間のエゴイズムがもっとも露になる部分。そんなのは前からわかってたよ」
『じゃ、なんで…』
いつにも増して饒舌で奇怪な行動ばかりとる夜くんに、私は食いさがった。
「どうして私に恋愛を知りたいなんて言ったのよ…」
「だってフウなら、」
あ、また悲しげな色が彼の瞳に宿る。
私の知らないなにかをその青色に押し込めるようにして…。
一体夜くんはなにをそんなに
(…悲しんでるの?)
「フウなら覆してくれると思ったんだ。それで、フウの傍にいればもしかしたら…
僕にも、なにか感情というものが、芽生えるんじゃないかなって」