forget-me-not
「先輩、プレゼントがあるんです」
にやにやと、企みを秘めた可愛らしい笑みをはりつけて、新戸くんはある日私にそう言った。
『なに?誕生日ならまだだけど…』
「ちがいますよ。ほら、この前の本にのってなかったアレについてです」
『…あぁ!え……まさか、みつけたの?』
超常現象ヲタク、とまでリカにからかわれても、それでも探すのを諦めなかった成果がいまここに、やっとでてきたのか?
そんな高ぶる胸の内を深呼吸で押さえつけながら、まじまじと新戸くんの顔をみつめた。
と、
「…そ、そんなに見つめないでください」
あろうことか、頬を染めて照れだす新戸くん。
私は苦笑を噛み殺し、無理やりに意地の悪い笑顔を作った。
この前あんな大胆なことをしておいて、照れる、だと?という心境である。まったく、小悪魔女子ならともかく小悪魔男子、なんて聞いたこともない。
案外ぜんぶ計算の内にやっているんじゃないだろうか……と、彼への疑惑が膨らんでいく。